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スーパーフォーミュラRd4予選、ニック・キャシディが逆転ポール獲得

写真提供:正木寛之

2018 スーパーフォーミュラ第4戦が7月7日、静岡県・富士スピードウェイで開幕し、公式予選が行われた。

予選全体を通じて雨が降るのか降らないのか全く読めない難しいコンディションの中で、No.3 ニック・キャシディ(KONDO RACING)がポールポジションを獲得した。
現在ポイントリーダーのNo.16 山本尚貴(TEAM MUGEN)が2番手に続き、昨年の富士戦チャンピオンのディフェンディング・チャンピオン、No.1 石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING)が3番手に滑り込んだ。

 

ぐずつく梅雨前線の影響を受け、日本列島は大雨に見舞われた。静岡県の富士スピードウェイでも早朝こそ大雨に強風が襲っていたが、午前のフリー走行では小雨になり、予選が始まる頃には天候も回復基調に。
このままドライで予選が開催されるかと思われた頃、富士スピードウェイの最終コーナー方面から怪しげな雨雲が接近し始める。
各陣営は本格的に雨が降る前にタイムを出すべく、セッション開始3分前からピットロード出口にマシンを並べた。
路面は乾いていたものの、競技団からはウェット宣言が出されてQ1を迎える。
14時30分から開始されたQ1では、全車がミディアムタイヤでコースイン。

今大会を通じて初めてのスリックタイヤの装着とあって、各ドライバーはぶっつけ本番でタイヤの感触を確かめながらのセッションが始まった。
石浦や山本、関口といった選手たちが1分24秒台に入れ、さらに関口は23秒台にタイムを伸ばして一旦ピットに戻った。
2セット目のミディアムタイヤに履き替えて残り8分のタイミングで再度コースインするが、このタイミングでNo.64 ナレイン・カーティケヤン(TCS NAKAJIMA RACING)が最終コーナー立ち上がりでスピンを喫する。雨雲がセクター3を濡らし、カーティケヤンはその影響を受けた結果だ。

最終コーナーでイエローフラッグが振られたため、多くのドライバーがタイムを計測することができずにピットに戻ることになった。

しかし前戦でポールを獲得しているNo.5 野尻智紀(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)は、1セット目の計測で15番手と出遅れており、コースにステイしてアタックを続けるが、降り始めた雨は容赦なくセクター3を濡らし、自己ベストを更新することは叶わずにQ1で敗退を喫してしまった。

10分間のインターバルを挟んで迎えたQ2では雨脚は落ち着き、タイヤチョイスはドライバーごとにスリックタイヤとウェットタイヤで半々ほどに別れてセッションが開始される。
しかしウェットタイヤでコースに入ったドライバーは、アウトラップを終えると即座にピットに戻り、スリックタイヤに履き替えてコースに復帰する。
Q2は7分間と限られた時間で争われ、スリック組が先にタイムを出していたが、ウェット組もセッション終了を告げるチェッカーが振られるまでにタイムアップに成功。

No.2 国本雄資(JMS P.MU/CERUMO・INGING)が1分23秒641というトップタイムをマークし、平川が2番手に。以下、キャシディ、石浦、塚越、一貴、山本、関口までがQ2を突破した。

No.18 小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)はコースインが遅れた上、セッション終了直前のラップで4輪脱輪を喫し、タイムを大きくロスして最終アタックに入る直前にチェッカーを受けてしまう。
悪い流れはこれだけに留まらず、コースアウトした周に出したベストタイムも走路外走行で予選終了後に抹消され、Q2敗退を喫した。

Q3 中嶋がPP獲得かと思われたが…

いよいよポールポジションを決するQ3を迎えると、ほとんどのドライバーが新品のソフトタイヤでコースインする中、No.36 中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)だけがレインタイヤを選択してコースイン。

セッション開始と共にセクター3を雨がコースを濡らし始め、スリックタイヤ組がテクニカルセクションでタイムを伸ばせずに40秒台以下のタイムを刻む中、中嶋だけが1分38秒840というタイムをマーク。
雨が強くなる気配も感じられ、各車はウェットタイヤに履き替える対応に迫られる。
このシチュエーションによって中嶋のポールポジションが確定するのではないかという雰囲気が漂ったが、タイヤを履き替えて計時1周目で石浦が中嶋のトップタイムを更新する。

さらに計時2周めでチェッカーを受けるタイミングで、No.3 ニック・キャシディ(KONDO RACING)が1分38秒098で滑り込み、自身2度めのポールポジションを獲得した。

■ニック・キャシディPPラップオンボード映像

 

さらにポイントリーダーのNo.16 山本尚貴(TEAM MUGEN)が1分38秒289で2番手に続き、決勝レースでのポイント上積みに有利な位置に付けた。

3番手には石浦が滑り込み、昨年の覇者の意地を見せつける形となった。

■その他の結果は以下の通り

2018-07-07
天候:雨 コース:ウエット

Po. No. Driver Car Name / Engine Q1 Q2 Q3
1 3 ニック・キャシディ
Nick Cassidy
ORIENTALBIO KONDO SF14
TOYOTA RI4A
1’24.564 1’23.568 1’38.098
2 16 山本 尚貴
Naoki Yamamoto
TEAM MUGEN SF14
Honda HR-417E
1’24.181 1’24.197 1’38.289
3 1 石浦 宏明
Hiroaki Ishiura
JMS P.MU/CERUMO・INGING SF14
TOYOTA RI4A
1’24.451 1’23.641 1’38.786
4 36 中嶋 一貴
Kazuki Nakajima
VANTELIN KOWA TOM’S SF14
TOYOTA RI4A
1’24.753 1’24.046 1’38.840
5 17 塚越 広大
Koudai Tsukakoshi
REAL SF14
Honda HR-417E
1’24.879 1’24.037 1’38.927
6 19 関口 雄飛
Yuhi Sekiguchi
ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14
TOYOTA RI4A
1’23.954 1’24.358 1’39.049
7 20 平川 亮
Ryo Hirakawa
ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14
TOYOTA RI4A
1’24.230 1’23.328 1’40.032
8 2 国本 雄資
Yuji Kunimoto
JMS P.MU/CERUMO・INGING SF14
TOYOTA RI4A
1’24.510 1’23.200 1’40.738
9 37 ジェームス・ロシター
James Rossiter
VANTELIN KOWA TOM’S SF14
TOYOTA RI4A
1’24.732 1’24.397
10 6 松下 信治
Nobuharu Matsushita
DOCOMO DANDELION M6Y SF14
Honda HR-417E
1’24.266 1’24.436
11 65 伊沢 拓也
Takuya Izawa
TCS NAKAJIMA RACING SF14
Honda HR-417E
1’24.539 1’24.680
12 4 山下 健太
Kenta Yamashita
ORIENTALBIO KONDO SF14
TOYOTA RI4A
1’24.204 1’24.834
13 8 大嶋 和也
Kazuya Oshima
UOMO SUNOCO SF14
TOYOTA RI4A
1’24.849 1’25.237
14 18 小林 可夢偉
Kamui Kobayashi
KCMG Elyse SF14
TOYOTA RI4A
1’24.663 1’31.798
15 5 野尻 智紀
Tomoki Nojiri
DOCOMO DANDELION M5S SF14
Honda HR-417E
1’25.001
16 50 千代 勝正
Katsumasa Chiyo
B-Max Racing SF14
Honda HR-417E
1’25.227
17 7 トム・ディルマン
Tom Dillmann
UOMO SUNOCO SF14
TOYOTA RI4A
1’25.289
18 64 ナレイン・カーティケヤン
Narain Karthikeyan
TCS NAKAJIMA RACING SF14
Honda HR-417E
1’25.307
19 15 ダニエル・ティクトゥム
Daniel Ticktum
TEAM MUGEN SF14
Honda HR-417E
1’25.553

車両:SF14 / タイヤ:ヨコハマ

■予選ダイジェストは以下の通り

決勝レースは7月8日(日曜日)、14時15分からスタートする。
明日の天候は回復基調にあるとみられ、データの少ないスリックタイヤをいかに機能させるかが鍵となりそうだ。