フェラーリ・ジャパン、新型R&Dプログラム用車輌「FXX K」をアブダビで世界初公開

フェラーリFXX K

アブダビで開催されるフィナーリ・モンディアーリでワールドプレミアした。

先に発売された最強のフェラーリ、La Ferarriのサーキット専用版である。




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2014年12月3日 イタリア・マラネッロ発 来週末、アブダビのヤス・マリーナ・サーキットにおいて、フェラーリの新型R&Dプログラム用車輌、FXX Kが世界初公開されます。実験車輌であるこのモデルは、マラネッロ初のハイブリッド・モデルをベースにした、来季より世界各国のサーキットを走行する予定です。車名の「K」は、サーキットでのパフォーマンスを最大化させるために搭載したエネルギー回生システム「KERS」に由来します。

ホモロゲーションやレース・レギュレーションに縛られないFXX Kは、レースなどの競技に出場することはありません。妥協を排して技術革新のみを追求して開発されたこの車輌は、限られたオーナー・テスト・ドライバーに、これまでに例のないドライビング・エクスペリエンスをもたらします。フェラーリは今後2年間、お客様に愉しんでいただくためのテスト・プログラムを用意する予定です。

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FXX Kの圧倒的な性能は、最高出力1,050cv、最大トルク900Nmという並はずれた数値が証明しています。出力の内訳は、V12エンジンが860cv、電気モーターが190cvとなります。

FXX Kに搭載されるV12エンジンは、総排気量6,262cc、新型カムシャフトとモディファイしたバルブトレーンを備えています。バルブトレーンは、油圧式ではなく機械式に改められました。インテークマニホールドも設計を見直し、表面を研磨処理した特別仕様となっています。サイレンサー排除に合わせて、エグゾーストシステムもモディファイされました。

この新型車輌が搭載するHY-KERSシステムは、純粋にパフォーマンスを追求して開発されたものです。ドライバーはセンターコンソールのマネッティーノを操作して4種類のセッティングの選択が可能です。「Qualify」は、限られた周回数で最大パフォーマンスを得るためのモードです。「Long Run」は、コンスタントに性能を発揮するよう最適化されたモードで、「Manual Boost」は即座に最大トルクを発生させることができます。「Fast Charge」は、バッテリーを速やかに充電するためのモードです。



FXX Kはまた、サーキットにおいて、どのような走行状況にあっても最大の効率を追求することを狙って開発されており、そのために車体全体にアクティブ/パッシブを問わず空力デバイスを装備しています。

フロント部を占めるのは2つの特徴的なスポイラーと、中央に段差のある大型スプリッターで、これは30mm低い設計になっています。設計にあたっては、世界耐久選手権GTカテゴリーで空力バランスを改善させた開発コンセプトが反映されています。このカテゴリーで、フェラーリは3年連続世界タイトルを獲得しています。2組の垂直パーツ、エンド・プレート、外観上のダイブ・プレーンは、垂直フィンとともに車体側面の空気の流れを促進させ、縦方向の渦を発生させて局部的に負圧を発生させます。これによって、ホイールで発生する乱気流をエアロダイナミック・アンダーボディの外へ吸い出します。サイド・シルから飛び出したサイドスカートに沿って、この乱気流がアンダーボディからの空気の流れを遮断してエアロダイナミクス効果を向上させています。

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車体後部にも極めて先進的な技術を採用しています。高くなったテール・セクションは、モバイル・スポイラーの展開によってさらに最大60mm高くなります。テール両端の垂直フィンとウイングレットは、低ドラッグ・セッティングの際はガイドベーンとして働き、より高いダウンフォースが求められるシーンではスポイラーとして機能します。このシステムは同時に、車輌後部に充分なダウンフォースを発生させるもので、リア・ディフューザーに充分なボリュームを持たせることで、ボディ下面からの気流の引き抜きを最適化します。リアホイールより前方、ボディ下面のフラットボトム部分は、ダウンフォースの発生に大きく貢献しています。ホイール・アーチから車輌後部にダイレクトで接続されているバイパス・ダクトによって、ホイール・アーチ内部の圧力を下げていることも、ダウンフォースに寄与しています。

これらの結果、低ドラッグセッティングで50%、よりアグレッシブな高ダウンフォースセッティングでは30%もダウンフォースを改善させ、速度200km/hで540kgという数値を達成しました。

縦方向、横方向、そして回転方向の加速度センサーと温度センサー、空気圧センサーを組み込んだピレリ・スリックタイヤの採用によって、車輌の運動性能は格段に向上しました。これらのセンサーによってタイヤと路面との相互関係を正確に分析することが可能となり、トラクションコントロール・システムが最高の性能を発揮するためのより詳細なデータを得ることができました。

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E-Diff電子制御デファレンシャル、F1-Tracトラクションコントロール、レーシングSSC(サイド・スリップ・アングル・コントロール)が作動するレベルも、装着されるスリックタイヤに合わせて最適化しています。高性能ABSの作動モードは、ステアリングホイールに装備したマネッティーノを操作して5段階から選択できます。

【技術諸元】FXX K

・KERS:システム

総合最高出力:1,050cv

総合最大トルク:900Nm

V12 最高出力:(*)860cv@9,200rpm

最大回転数:9,250rpm

V12 最大出力:750Nm@6,500rpm

電気モーター出力:140Kw(190cv)

・ICE

タイプ:65°V12

ボア×ストローク:94x75.2mm

総排気量:6,262cc

比出力:137cv/L

・サイズ

全長:4,896mm

全幅:2,051mm

全高:1,116mm

ホイールベース:2,665mm

・ギアボックス

7速:DCT

・サスペンション

フロント:ダブルウィッシュボーン

リア:マルチリンク

・タイヤ:(ピレリP-Zero センサー付きスリック)

フロント:285/650-R19x10.5

リア:345/725-R20x13

・カーボンセラミック・ブレーキ(ブレンボ)

フロント:398x223x36mm

リア:380x253x34mm

・電子制御システム

ESC:スタビリティ・コントロール

高性能ABS/EBD:パフォーマンス・アンチ・ブロッキングシステム/

電子制御ブレーキバランス

EF1-Trac:ハイブリッドシステムと統合したF1電子制御トラクション

・コントロール

E-Diff 3:第3世代電子制御デファレンシャル

SCM-E Frs:磁性流体ダンピング・コントロール/ツイン・ソレノイド

(ニッケルアルナイド・チューブ)

エアロダイナミクス:アクティブ

*ラム圧効果含む