WEC富士6時間レース決勝、母国凱旋のトヨタ勢が1-2フィニッシュで完勝

FIA 世界耐久選手権(WEC)第2戦 富士6時間レースが10月5-6日、静岡県小山町・富士スピードウェイで開幕し、10月6日に決勝レースが開催された。

母国凱旋となるトヨタガズーレーシングは、8号車トヨタTS050 HYBRID(セバスチャン・ブエミ/中嶋一貴/ブレンドン・ハートレー)が優勝、7号車(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペス)も2位に入り、トヨタ勢がワンツーフィニッシュを飾った。

今季から採用された「サクセス・ハンディキャップ」により、LMP1クラスではポールポジションの8号車が1秒、2番手スタートの7号車は1.4秒が加算される厳しいハンデを背負ってのレースとなり、トヨタ勢は苦しい決勝レース。

グリッドウォーク中に雨粒が落ちるなどし、タイヤ選択に迷う陣営が続出。慌ただしく決勝レースを迎えることとなったが、各車はドライタイヤを選択してスタート。結局フォーメーションラップまでに雨が路面を濡らすことはなかった。

フォーメーションラップを終え、レースがスタートすると、8号車はトップをキープして1コーナーに進入するが、7号車は1号車 レベリオン・レーシングに先行を許し、3番手に後退してしまう。

ダンロップコーナーでは複数台のマシンが絡むクラッシュが発生。セーフティカーが出動する。

SCランが終了すると、3位に転落していた7号車は1号車について走行を重ねると、最終コーナーをうまく立ち上がってマシンをスピードに乗せ、ストレートで1号車の前に出るが、1コーナーまでに速度差が逆転され、1号車に先行を許す難しいレース展開に陥る。
周回遅れが出始めた12周め、1号車がラップラウンの処理に手こずる間に7号車は2番手に浮上すると、その後はトヨタ勢の1-2体制が完成する。
しかし8号車に対して0.4秒のサクセスハンディが課された7号車は、その後はじりじりと離されていく苦しいレースに発展。

レースが2時間を消化した頃、サーキット上空に雲が立ち込め、次第に雨粒が路面を濡らしていく。
トヨタ勢の2台と1号車もピット・インすると、インターミディエイトタイヤに交換、ドライバーも交代してコースにマシンを復帰させる。この雨の影響では順位の変動は起きなかった。

そしてレース残り2時間30分、コース上に点在したデブリの処理によってフルコースイエローが導入されると、トヨタ勢はこのタイミングでピット・インすると、タイヤをドライタイヤに戻す作戦を展開。

さらに54号車 AFコルセ、70号車 MRレーシングのフェラーリ同士の接触により、70号車のサイドミラーがコース上に脱落してしまう。このデブリの除去のため、2度めのフルコースイエローが出される。

このときにもピット作業を行った8号車だったが、ピットレーンの速度違反を喫し、ドライブするーペナルティが課される。
しかし2番手以降に十分なマージンを築いていた8号車は、トップをキープしたままコースに復帰することに成功する。

さらに残り1時間ほどとなったところで各陣営は最後のドライバー交代を行うピット作業を見せる。
トヨタ勢では8号車にセバスチャン・ブエミ、7号車に小林可夢偉が登場し、チェッカーを目指す。

レース終盤では大きなトラブルが発生することはなく、6時間で232周を周回して8号車がトップチェッカーを受ける。
33.955差で7号車が2位に入った。
3位にはレース序盤で7号車を苦しめた1号車が入った。

トヨタ勢は開幕戦から連続で1-2フィニッシュを飾った他、ブエミはWECで最多勝利記録となる通算16勝目をマーク。中嶋にとっては4度目の母国戦勝利を果たした。そして、ハートレーはTOYOTA GAZOO Racingのドライバーとして初めて表彰台の中央に立つこととなった。

LMP2クラスでは、レース終盤をハイペースで周回した29号車 RNYが大逆転でクラス優勝をもぎ取った。

LM-GTE Proクラスでは、95号車 アストンマーチンが安定した走りでクラス優勝。エンデュランスマイスターのポルシェの92号車が2位に続く。97号車も一時は2番手につけていたが、ポルシェに先行を許し、最終的には3位となった。

LM-GTE Amクラスでもアストンマーチンがレースを有利に展開し、90号車 TFスポーツがほぼ独走でクラス優勝を掴んだ。石川資章が率いる70号車 MRレーシングは、終盤にもコッツォリーノが上位をパスする激走を見せてクラス4位。星野がスタートを担当した88号車 デンプシー・プロトンはクラス9位となった。