ステレオタイプニューズ

スーパーフォーミュラRd4決勝、ニック・キャシディがポール・トゥ・ウィンで初優勝 KONDO RACINGに10年ぶりの勝利をもたらす

2018 スーパーフォーミュラ第4戦の決勝レースが7月8日、静岡県・富士スピードウェイで開催された。

ポールポジションからスタートしたNo.3 ニック・キャシディ(KONDO RACING)がポール・トゥ・ウィンでスーパーフォーミュラ参戦2年目で初優勝を果たした。
キャシディはKONDO RACINGに2008年富士戦以来、10年ぶりの優勝をもたらした。

午前のフリー走行では、セッション終了直前に小雨がコースに降り注いだが、それ以外では曇りに時折太陽が顔を覗かせるコンディションで決勝レースを迎える。
14時15分からスタートする決勝レースは、気温30度、路面温度37度にまで天気が回復した。
これまでほとんどのセッションでスリックタイヤを使っていなかった富士戦では、スリックタイヤの感触を掴むに至らなかったこともあり、全ドライバーがぶっつけ本番で決勝レースに臨むことに。
写真提供:正木寛之 有坂崇

シグナルオールレッドからブラックアウトして決勝レースがスタートすると、ポールポジションのキャシディはイン側にマシンを進め、1コーナーを最短距離で侵入するラインを選択。
2番手グリッドからスタートしたNo.16 山本 尚貴(TEAM MUGEN)は行き場をなくして一瞬戻ったスロットルの影響を受け、3番手グリッドからスタートしたNo.1 石浦 宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING)にパスされると、6番手からロケットスタートを決めたNo.19 関口 雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)も山本をパス。そのままトップ2人に1コーナーで3ワイドに並ぶところまで迫ったが、キャシディと石浦はイン側のラインを守ってトップ2を形成。徐々に3位以下を引き離してゆく。

2人のバトルは膠着したが、10周を超えたところで後方スタートのミディアムタイヤ組がピット作業を終えてコースに復帰したところにキャシディと石浦のバトルが突入してしまい、ラップダウンが前を塞いで思うようにペースを保てなくなる。

ここに牙を向いたのがNo.2 国本 雄資(JMS P.MU/CERUMO・INGING)だった。
8番手グリッドからミディアムタイヤでスタートした国本は、スタートで前の2台をパスし、同じくミディアムタイヤスタートのNo,17 塚越広大(REAL RACING)を100Rで接触しながらパス。
後方からソフトタイヤでスタートしたNo.6 松下真治(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)に先行を許したものの、ミディアムタイヤ勢のトップである7番手に浮上すると、13周目にピット・インしてソフトタイヤに交換。コースに復帰する。
トップ2台のペースについていけない関口やNo.36 中嶋 一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)をよそに、トップと同等か、それを上回るタイムで国本はレースを展開。
20周目には1分03秒だったキャシディとのギャップは、ラップダウンの処理に手間取っている間に30周めには59秒差に縮める。
30周目にピット・インしたNo.15 ダニエル・ティクトゥムがトップ2台の前にコース復帰した影響を受け、バトルが激化する。
石浦はオーバーテイクシステムを使ってダンロップコーナーでキャシディに襲いかかるが、キャシディは紙一重でディフェンスに成功し、35周目にピットインする。
素早いピット作業でフルサービスを終えたピットクルーは、12秒9でキャシディをコースに復帰させると、「アウトラップは人生一番大事なラップ」とキャシディは後の会見で語った走りで見えなくなった敵とのバトルを続行。
前が開けた石浦も猛プッシュを仕掛けて41周目に入るタイミングでピット・イン。
ピット戦略でトップ逆転を図った石浦だったが、ジャッキダウン直後にギアがニュートラルに入ってしまい、動き出しまでに数秒をロス。
この影響もあり、コースに復帰したときにはギリギリでキャシディが先行し、逆転は叶わなかった。

両者のピットアウト後はキャシディのペースが石浦を上回り、徐々に石浦を引き離していくと、そのまま55周を走りきり、スーパーフォーミュラ参戦2年目で初優勝果たした。
キャシディはポールポジションの1ポイントに、決勝レースの10ポイントを更に加算し、シリーズランクトップをゆく山本が8位の1ポイント獲得に留まったことから、1ポイント差のシリーズ2位にまで肉薄した。

KONDO RACINGにとっても、2008年の富士戦以来、実に10年ぶりとなる勝利をもぎ取った。

2位は石浦が順位を守りきって、今季のチャンピオンシップに望みをつなげる貴重なポイントを獲得した。

3位には石浦のチームメイトの国本が続いた。素晴らしいスタートを成功させたことに加えてチームの戦略がハマり、クリアラップが取れる位置でコースに復帰できたのが奏功した。
コース上でのバトルはスタート後を除いて少なかったが、前後の位置関係を無線で把握しながら走りきった国本は、チームへの感謝を後の記者会見でも語っていた。

■レースダイジェストは以下の通り

■その他の結果は以下の通り

2018-07-08 天候:曇り コース:ドライ

Po. No. Driver Car Name / Engine Laps Total Time Delay Gap Best
1 3 ニック・キャシディ
Nick Cassidy
ORIENTALBIO KONDO SF14
TOYOTA RI4A
55 1:20’59.984 1’25.682
2 1 石浦 宏明
Hiroaki Ishiura
JMS P.MU/CERUMO・INGING SF14
TOYOTA RI4A
55 1:21’04.270 4.286 4.286 1’25.810
3 2 国本 雄資
Yuji Kunimoto
JMS P.MU/CERUMO・INGING SF14
TOYOTA RI4A
55 1:21’32.730 32.746 32.746 1’26.134
4 20 平川 亮
Ryo Hirakawa
ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14
TOYOTA RI4A
55 1:21’35.290 35.306 35.306 1’26.023
5 36 中嶋 一貴
Kazuki Nakajima
VANTELIN KOWA TOM’S SF14
TOYOTA RI4A
55 1:21’43.496 43.512 43.512 1’26.903
6 19 関口 雄飛
Yuhi Sekiguchi
ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14
TOYOTA RI4A
55 1:21’48.553 48.569 48.569 1’26.401
7 8 大嶋 和也
Kazuya Oshima
UOMO SUNOCO SF14
TOYOTA RI4A
55 1:21’48.981 48.997 48.997 1’26.844
8 16 山本 尚貴
Naoki Yamamoto
TEAM MUGEN SF14
Honda HR-417E
55 1:21’53.798 53.814 53.814 1’26.797
9 6 松下 信治
Nobuharu Matsushita
DOCOMO DANDELION M6Y SF14
Honda HR-417E
55 1:21’57.424 57.44 57.44 1’27.006
10 7 トム・ディルマン
Tom Dillmann
UOMO SUNOCO SF14
TOYOTA RI4A
55 1:21’59.643 59.659 59.659 1’26.894
11 15 ダニエル・ティクトゥム
Daniel Ticktum
TEAM MUGEN SF14
Honda HR-417E
55 1:22’18.112 1’18.128 1’18.128 1’27.262
12 18 小林 可夢偉
Kamui Kobayashi
KCMG Elyse SF14
TOYOTA RI4A
55 1:22’25.649 1’25.665 1’25.665 1’27.125
13 17 塚越 広大
Koudai Tsukakoshi
REAL SF14
Honda HR-417E
55 1:22’25.650 1’25.666 1’25.666 1’26.888
14 5 野尻 智紀
Tomoki Nojiri
DOCOMO DANDELION M5S SF14
Honda HR-417E
55 1:22’26.337 1’26.353 1’26.353 1’26.818
15 65 伊沢 拓也
Takuya Izawa
TCS NAKAJIMA RACING SF14
Honda HR-417E
54 1:21’16.401 1Lap 1Lap 1’26.850
16 64 ナレイン・カーティケヤン
Narain Karthikeyan
TCS NAKAJIMA RACING SF14
Honda HR-417E
54 1:21’17.797 1Lap 1Lap 1’26.739
17 50 千代 勝正
Katsumasa Chiyo
B-Max Racing SF14
Honda HR-417E
54 1:21’18.930 1Lap 1Lap 1’27.037
18 4 山下 健太
Kenta Yamashita
ORIENTALBIO KONDO SF14
TOYOTA RI4A
53 1:18’57.307 2Laps 2Laps 1’26.494
19 37 ジェームス・ロシター
James Rossiter
VANTELIN KOWA TOM’S SF14
TOYOTA RI4A
53 (1:18’57.165+60秒) 1’26.353

車両:SF14 / タイヤ:ヨコハマ

開始時刻: 14:18:51
終了時刻: 15:39:50レース中のベストタイム No.3 Nick Cassidy ORIENTALBIO KONDO SF14 1’25.682(5/55)191.718km/h

CarNo.37は、統一規則第15条1.1)2)(衝突により他車のコースアウトを強いるもの)違反により、競技結果に60秒加算及びペナルティポイント1を科す。

 

次戦第5戦は8月18日(土)から19日(日)に、栃木県・ツインリンクもてぎにて開催される。