スーパーフォーミュラ次期参戦車両「SF19」、シェイクダウンを実施

来季のスーパーフォーミュラ参戦マシンとなる「SF19」のシェイクダウンが7月4日、静岡県・富士スピードウェイで開催され、国内で初めてメディアと一般来場客に公開された。
日本海側を進む台風7号、ならびに台風に刺激された梅雨前線の影響により、雨が降りしきるあいにくのコンディションであったが、野尻智紀によってテスト走行が重ねられた。

今回シェイクダウンに使用されたのはホンダの開発車両で、トヨタの開発車両も展示されていた。

SF14で実現した「クイック&ライト」のコンセプトはそのままに、最新の安全性と空力パッケージを施したSF19では接近戦を可能にすべく、マシン上面ではなくフロア下でダウンフォースを多く発生する設計がなされている。
スーパーフォーミュラを統括するJRP代表取締役社長 倉下明氏によると、SF19の開発に入る前、ダラーラからこんな質問を受けたと語った。
「ラップタイム、最高速度、追い抜き。この中で何が重要だ?」
これに倉下氏は「追い抜き、ラップタイム、そして最高速度」と答えたことから、SF19のコンセプトが決まったという。
もちろん2016年の安全基準に適合させるべく、モノコックの見直しもなされている。
注目されたヘイロー(コックピット保護デバイス)の装着については、F1での評価を慎重に見極め、今後装着もできるようにホモロゲーションを両規格で取っていると語った。

フロントウィグでは、F1でも踏襲されるU字型にたわんだ作り。
更にウィング上面に配置されたカモメウィングも1枚だったSF14から2枚に増量。
レギュレーションに合わせて低ノーズ化されたフロントノーズによりダウンフォースが失われれるが、フロントタイヤの10mm幅広化などによってグリップの低下は感じられないレベルに抑えられているようだ。
さらにサバイバルセルの横幅をSF14よりも細くすることにより、前面からの空気をラジエータとフロア下に積極的に取り入れる工夫がなされた。

後方への乱流を極力減らすため、フロア下に多く空気を取り込むため、フロア入り口にも多くの空気を取り入れる工夫がされている。

ラジエータへ空気を効率よく導くため、バージボードエリアにも新たなカナードが追加されている。
また、サイドポッドウィングも追加されたことによって、後方への空気の流れを整える効果がわかる。

F1ではレギュレーションによって使用を禁止されたが、スーパーフォーミュラではSF14に搭載された。
このシャークフィンはマシン前部で発生する乱流を抑えてキレイな空気の流れをリアウィングに導くためのデバイスだが、SF19でも小ぶりながらシャークフィンが見受けられる。

後方からの視認性を高める赤色LEDがウィング端に追加された。

開発を担当した野尻智紀は、「富士スピードウェイの100Rを全開で行けるかもしれない」と語り、SF19のポテンシャルの高さを伺わせるコメントをしている。

来季のスーパーフォーミュラでは、より接近したバトルが繰り広げられ、今季よりもさらに白熱の展開が見られるのかもしれない。

SF19は2019年1月より各チームにデリバリーされることが予定されている。

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