FIA-IDC 2018年のドリフト世界一を決める大会「FIA インターコンチネンタル ドリフティングカップ」が11月4日、お台場の特設コースで開催され、16カ国21名の選手の中からロシアのゴーチャが単走・追走共に優勝。史上初となるダブルタイトル制覇を成し遂げた。
コースと採点方式を変更
2回目となる今大会。昨年に比べてハイスピードなコースレイアウトとしたほか、新たにヒューマンジャッジを採用。FIA-IDCでは、走り全体をライン、アングル(角度)、スタイルの3項目で30点ずつ、速度(振り出し&平均)が10点の合計100点として審査。コーナー(セクター)ごとに審査。DOSSを用いた機械判定のD1グランプリとは大きく異なる上に、D1では考慮されないアウトラインへの寄せ(アウトクリップ)も判定されるとあり、機械判定に慣れている日本勢に対してどのように影響するかに注目が集まった。
日の丸を背負って戦う日本勢は、昨年の世界王者の川畑、2018年D1グランプリチャンピオン横井、そして藤野、末永の4名。しかし、午前中の練習走行で川畑が1コーナーのアウト側コンクリートウォールにリアをヒット。バンパーが外れる程度で済んだものの、大事を取ってその後の走行をキャンセル。
続く横井も同じく1コーナーでクラッシュ!鈍い音が会場に響き、スタンドは静まり返った。
ダメージが大きく自走できない状態となった横井のマシンは、ピットに戻ってからリアにあるラジエータ部分とフロント、リアの足廻りの突貫修理に追われた。
さらに末永も金曜の練習走行で手首を負傷した状態で、練習走行ではアウトクリップに甘さがみられた。日の丸滑走隊に暗雲が立ち込め始める。
日の丸滑走隊失速!ロシアに敗れる
こうして始まった単走決勝。空には厚い雲が立ち込め、時折小雨が降る滑りやすい路面状態に。加えて不明確なジャッジに各選手は苦しめられた。日本勢のトップバッターである川畑は、いつものD1で魅せるダイナミックかつハイスピードなドリフトを決めたが、70点台と低調のスコアに終わる。この点数を受けて川畑は2本めを修正。85点でAグループのトップに立つ。
Bグループ最初の出走は横井。一見治ったかに見えたクルマは、1コーナーのウォールへと吸い込まれて再びクラッシュ。ここで横井はリタイアを宣言し脱落。
藤野は安定の走りをするものの、滑りやすい路面を意識しすぎたか、86点に留まる。
いっぽう、ロシアのゴーチャが2本めに95点という圧倒的な得点を叩き出し、他を圧倒してトップに立つ。会場は多いに湧き上がる。
日本人選手で残るはCグループの末永。雨が強くなり路面は完全にウェットで、白煙よりも水しぶきが見えるような状態の中86点に留まり、これで日本人選手の単走優勝は潰えた。さらに、スイスとチェコの選手の88点により、なんとトップ3にも入れないという結果に終わった。
日本勢壊滅。世界との壁の厚さを実感させられる結果に……
午後に行われた追走は、ロシア勢、日本勢とも順当に勝ち進む。しかし小雨によって滑りやすくなった路面は、まず藤野に襲いかかり、同じコーナーで2回ともスピン。しかし、相手もインカットなどのミスを起こしていたことに助けられ両者とも0点。単走での走りが基準となり藤野がかろうじて勝ち上がる。
ベスト8戦は、ロシアのゴーチャとアルカーシャによる同門対決に注目が集まった。昨年2回も再戦をしたこの組み合わせ。しかしアルカーシャのマシンが本調子ではなかったこともあって勝ったのはゴーチャ。
続く対戦は日本勢同士による藤野と末永。ここは末永が安定した走りで勝利を納め勝ち上がる。いっぽう、川畑はベスト8戦でデフブローによりリタイア。
大会2連覇の夢は潰えた。 日本勢でただ1人残った末永に期待が高まる中、その相手はロシアのゴーチャ。戦いは熾烈を極めたもので、一回では勝負がつかずONE MORE TIMEに。末永の動きを読み切ったゴーチャが見事な寄せをみせて勝利。
ゴーチャはそのまま勝ち進み、単走に続き追走も優勝を納め、初の単走・追走チャンピオンの座に輝いた。いっぽうの末永、なんと3位決定戦でも敗れるという波乱。日本勢が表彰台に上がることは叶わなかった……。
こうして終わった2回目のFIA-IDC。日本勢は悔しさを胸に、もう一度「WORLD No.1 DRIFT」の名を取り戻して欲しい。