2019年 全日本選手権スーパーフォーミュラの最終戦「第18回 JAF鈴鹿グランプリ」の決勝レースが10月27日、三重県・鈴鹿サーキットで開催された。
セーフティカーが導入されなかった今レースでは、2番手グリッドからソフトタイヤでスタートした野尻智紀(TEAM MUGEN)が、ポールポジションからスタートしたアレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING)を8周目に逆転。その後もレースをマネジメントし続けて34周目にピットインすると、シリーズチャンピオン争いを繰り広げるニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM’S)の前でコースに復帰すると、そのままマシンをチェッカーまで運び、デビューイヤーの2014年の菅生戦以来となる2勝目を飾った。
なお、ポールポジションからスタートしたアレックス・パロウのペースが失速すると、ニック・キャシディが猛追を果たして2番手でチェッカーを受け、自身初となるシリーズチャンピオンを獲得した。
決勝レースは気温23度、路面温度26度と、10月下旬としては暖かなコンディションで迎えた決勝レース。
シリーズチャンピオンを決する大事なレースは、14時ちょうどにフォーメーションラップが開始された。
43周で争われる決勝レースでは、ポールポジションのPPのアレックス・パロウ、予選4番手の福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、5番手の山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)などがミディアムタイヤを選択した。
シグナル・オールブラックでレースが開始されると、パロウがまっさきに1コーナーに飛び込むと、野尻も順位を守って続くが、3番手に山本が浮上。6番手に付けていたキャシディはスプーンカーブで塚越広大(REAL RACING)を、2周めには福住、3周目には山本をもかわして3番手に浮上する。
しかし6周目を迎えると、パロウのペースが伸び悩み、2番手の野尻とのギャップが縮まっていく。
8周目には野尻がパロウを抜いてトップに立つと、その後も1分41秒台のペースを重ねて後続を突き放しにかかる。しかし2番手に立ったキャシディは、野尻を無理に追い上げることはせず、レース全体の流れを掴む走りを見せる。
チャンピオン争いから交代してしまったパロウは、その後も福住からのアタックに対してオーバーテイクボタンで必死のディフェンスを展開したが、17周目の130Rで福住に抜かれると、その後もペースを上げることができずに下位に沈んでいく。
一方、トップに立った野尻は、8周目にピット作業を終わらせて快走を重ねる福住の動きを見極めつつ34周目にピットに入ると、ミディアムタイヤへの交換と給油を終わらせる。素早い作業で福住の前に立つことに成功した。
続くキャシディも野尻の翌周にピットに入る。TOM’Sは11秒というピット作業を見せると、野尻の先行は許したものの、福住の前でコースに復帰することに成功した。
トップに立った野尻は危なげない走りを続け、そのまま43周を走りきって2014年のデビューイヤー以来の2勝目を飾った。
今レースではボーナスポイントが加わった結果、野尻はシリーズを4位で終える結果となった。
2番手にはキャシディが順位を守りきり、自身初となるシリーズチャンピオンを参戦3年目にして獲得した。
3番手には福住が続き、自身初となる表彰台を最終戦で掴み取った。
なお、4位に関口、5番手に山本、以下14ポジションアップの石浦、塚越と続いた。
チームタイトルは、今レースで2番手、5番手を獲得したDOCOMO TEAM DANDELION RACINGが獲得した。
■決勝レースダイジェストは以下の通り
ニューシャーシへの理解が上位入賞の鍵を握った2019年シーズンもこれで終了。一年を振り返れば毎戦で勝者が入れ替わる混戦が続き、誰が勝ってもおかしくない接戦が繰り広げられた。
来季への期待がより一層強まる結果となり、今から来年の開幕が楽しみになるシリーズとなった。
写真提供:正木寛之