全日本選手権スーパーフォーミュラ第7戦の決勝レースが、接近する台風21号の影響により、中止されることが発表された。
この結果、予選順位によってポイントが加算され、#2 石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING)の2年ぶり2度めのシリーズチャンピオンが確定した。
P.MU/CERUMO・INGINGとしては3年連続のドライバータイトル、そして2年連続のチームタイトルということで、円熟を増したチームの総力の結果と言えそうだ。
石浦は「全然実感がなくて、びっくりしている状況。(中略)ついさっきまでどう戦おうかと考えていた。こういう結果(決勝レースの中止)になりましたが、チャンピオンになったことは素直にうれしく思います」と語った。
第4戦のもてぎがポイントだったと振り返る石浦は、2スペックタイヤが導入されたことによって戦略に幅が出たことにより、19番手までに後退したレースを4位にまで追い上げた事を挙げ、決勝レースでも強いクルマを作り上げたエンジニアを賞賛した。
チーム監督の立川祐路も「ここまでの積み重ねが石浦のタイトル、チームのタイトルにつながっているので、そこはみんなの力が働いていると思います。また、チームタイトルは石浦ひとりで獲れるものではなく、ここにはいませんが、去年のチャンピオンである国本の力もあってのもの。すべてのチームメンバーに感謝しています」と語り、チームを労った。
自分ではどうしてもコントロールできないことが起こる
シリーズ2位には#15 ピエール・ガスリー(TEAM MUGEN)が入った。
決勝レースを戦えなかった悔しさをにじませながらも、「最終的にシリーズ2位になり、ルーキー・オブ・ザ・イヤーも獲得することができました。すばらしい結果だし、うれしく思います。」と語った。
現役F1レーサーとして迎えた最終戦では、本気でチャンピオンを取りに来ていただけに、決勝レースが中止された事を受け、「自分ではどうしてもコントロールできないことが起こるっていうこと。その結果、わずか0.5ポイント差でチャンピオンを逃すっていうのは、これまで経験したことがないことだったし、受け入れるのが大変だ(苦笑)。」と悔しさを滲ませた。
来季から主戦場をF1に移すガスリーは、ホンダのパートナーシップはトロ・ロッソでも継続されるだけに、この経験は大きな糧になることだろう。
シリーズ3位には#7 フェリックス・ローゼンクヴィスト(SUNOCO TEAM LEMANS)が入った。
「僕が明日のレースで逆転チャンピオンになるという可能性は低かったと思います」と振り返りながら、「来年も続けてチャンピオン争いができればと思うので、引き続きチームとがんばりたいですね。」と語るなど、早くも来季への意欲を語った。
これまでF3やインディ・ライツといった下位カテゴリーのクルマに乗ってきたローゼンクヴィストは「こんなに大きくてパフォーマンスが高いフォーミュラカーに乗ったのは今年が初めて。学ぶことも多かった。」とシーズン序盤の戸惑いを語りつつ、「一番大きなチャレンジとなるのはコミュニケーション」と振り返り、このシーズンを闘う間にチームの状況を改善できたことは誇りに思うし、今後も活かしていきたい」と語り、順応性の高さを伺わせた。
photo/text HIRO Masaki