2018年スーパーGT最終戦となる第8戦「MOTEGI GT250km RACE GRAND FINAL」が11月11日、栃木県・ツインリンクもてぎで決勝レースが開催された。
GT500クラスでは、ポールポジションからスタートした8号車 ARTA NSX-GT 野尻智紀/伊沢拓也が、決勝レースでもハイペースを保ち、今季2度めのポール・トゥ・ウィンを達成した。
100号車 RAYBRIG NSX-GT 山本尚貴/ジェンソン・バトンは、1号車 KeePer TOM’S 平川亮/ニック・キャシディとの熾烈な直接バトルを制して3位フィニッシュ。2018年シリーズチャンピオンを獲得した。
ホンダのシリーズタイトルは2010年以来で、TEAM KUNIMITS、山本尚貴にとっては初タイトル。ジェンソン・バトンは2009年F1ブラウンGP以来9年ぶりのシリーズチャンピオン獲得と、それぞれが喜びに満ちた戴冠となった。
気温20度、路面温度29度、最終戦にふさわしい絶好の秋晴れに恵まれた決勝レースでは、序盤は予選の順位通りに8号車 伊沢拓也、100号車 山本尚貴、8号車 EPSON Modulo NSX-GT ベルトラン・バゲットがレースをリード。
強固に築かれたホンダ勢の牙城を38号車 ZENT CERUMO LC500 立川祐路が追いかける展開に。
チャンピオン獲得には100号車よりも前でフィニッシュしなければならない1号車は、6番手スタートから1コーナーで1つ順位を上げ、5番手でレースを運ぶ。
8号車が先陣を切って19周目にピット・インすると、タイヤ交換と給油を行ったマシンを野尻智紀に託す。
その後続々と上位陣がピット・インするなか、100号車は29周まで引っ張ってピット・イン。この動きを見て1号車も同時にピット・インし、ルーティンワークをこなすと、順位変動は起きずにコースに復帰した。
このとき後ろの38号車 石浦宏明を抑え続けていた64号車 Epson Modulo NSX-GT 松浦孝亮だったが、100号車がピットアウトすると、64号車の前に出た38号車が、100号車をもパスして実質2位にまで浮上。
しかし1号車だけを見てレースが出来る100号車は、間に4台を挟んでいるとあって、この時点では100号車が圧倒的に有利な状態に。
8位でコースに復帰した1号車 平川亮は、19号車 WedsSport ADVAN LC500、36号車 au TOM’S、6号車 WAKO’S 4CR LC500、そして37周目の90度コーナーで64号車を次々にパス。
一方で先行を許した38号車を追い立てる100号車は、接近することは出来るものの石浦のガードが固く、なかなか前に出ることが出来ない。バトンはここで無理してタイヤを壊すより、ハイペースで追い上げてくる1号車 平川との攻防に備えてペースをコントロールする。
この時点で7秒あったバトンと平川の差は、1周ごとに1秒ずつ縮めるペースで接近していく。
残り10周となったところで差は2秒を切り、チャンピオンシップの行方は直接対決の激しいバトルに展開。
一見1号車有利に見える苦しい展開に思われた100号車のバトンは、前から次々現れるGT300クラスのマシンを巧みにかわしながらも1号車を後ろに抑え続け、何度もアタックされながらもバトンは巧みにマシンをコントロールして順位を守る。
トップをゆく8号車が38号車に迫られながらもビハインドを守ると、ファイナルラップも後ろとの差を保ちながらトップチェッカーを果たし、今季2度めのポール・トゥ・ウィンで2勝目を挙げた。
今季2勝を上げながらもタイトル戴冠が叶わなかった悔しさが滲み出る姿が印象的だった。
4位からスタートした38号車は、レースを巧みにコントロールしてトップを苦しめたが、追い抜きは最後まで叶わず、2番手で表彰台を獲得した。
最後の最後まで1号車に苦しめられた100号車だったが、ファイナルラップでタイヤを使い果たした平川に対して、バトンは突き放しにかかってキッチリと順位を守りきって3位表彰台を獲得し、このとき初のシリーズチャンピオン戴冠をTEAM KUNIMITSUと山本尚貴にもたらした。自身も2009年ぶりの参戦カテゴリーシリーズチャンピオン獲得とあって、その喜びの爆発は凄まじいものがあった。
このレースを以て2018年のスーパーGTは全日程を終了した。
NSX-GTとともに長い苦しみを味わってきたホンダ勢にとって、嬉しいタイトル奪還となった。
■レースダイジェストは以下の通り
■その他の結果は以下の通
※晴/ドライ(天候/コース)
Po | No | Machine | Driver | Laps | Best Lap | Diff.(km/h) | Tire | WH |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 8 | ARTA NSX-GT Honda NSX-GT / HR-417E | 野尻 智紀 伊沢 拓也 | 53 | 1’38.512 | 1:31’09.252 | ||
2 | 38 | ZENT CERUMO LC500 LEXUS LC500 / RI4AG | 立川 祐路 石浦 宏明 | 53 | 1’39.321 | 1.806 | ||
3 | 100 | RAYBRIG NSX-GT Honda NSX-GT / HR-417E | 山本 尚貴 ジェンソン・バトン | 53 | 1’38.776 | 8.096 | ||
4 | 1 | KeePer TOM’S LC500 LEXUS LC500 / RI4AG | 平川 亮 ニック・キャシディ | 53 | 1’39.447 | 9.672 | ||
5 | 19 | WedsSport ADVAN LC500 LEXUS LC500 / RI4AG | 国本 雄資 山下 健太 | 53 | 1’39.577 | 23.171 | ||
6 | 6 | WAKO’S 4CR LC500 LEXUS LC500 / RI4AG | 大嶋 和也 F.ローゼンクヴィスト | 53 | 1’39.406 | 35.697 | ||
7 | 23 | MOTUL AUTECH GT-R NISSAN GT-R NISMO GT500 / NR20A | 松田 次生 ロニー・クインタレッリ | 53 | 1’40.085 | 36.167 | ||
8 | 39 | DENSO KOBELCO SARD LC500 LEXUS LC500 / RI4AG | ヘイキ・コバライネン 小林 可夢偉 | 53 | 1’39.994 | 40.731 | ||
9 | 3 | CRAFTSPORTS MOTUL GT-R NISSAN GT-R NISMO GT500 / NR20A | 本山 哲 千代 勝正 | 53 | 1’40.035 | 40.803 | ||
10 | 24 | フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R NISSAN GT-R NISMO GT500 / NR20A | J.P.デ・オリベイラ 高星 明誠 | 53 | 1’40.168 | 44.458 | ||
11 | 12 | カルソニック IMPUL GT-R NISSAN GT-R NISMO GT500 / NR20A | 佐々木 大樹 ヤン・マーデンボロー | 53 | 1’39.800 | 45.226 | ||
12 | 64 | Epson Modulo NSX-GT Honda NSX-GT / HR-417E | ベルトラン・バゲット 松浦 孝亮 | 53 | 1’38.748 | 47.861 | ||
13 | 36 | au TOM’S LC500 LEXUS LC500 / RI4AG | 中嶋 一貴 関口 雄飛 | 53 | 1’40.023 | 1’00.811 | ||
14 | 16 | MOTUL MUGEN NSX-GT Honda NSX-GT / HR-417E | 武藤 英紀 中嶋 大祐 | 53 | 1’40.597 | 1’07.524 | ||
15 | 17 | KEIHIN NSX-GT Honda NSX-GT / HR-417E | 塚越 広大 小暮 卓史 | 53 | 1’39.588 | 1’29.483 |